漫画「ゼロからわかる携帯・簡易トイレ」の内容を詳しく解説するページです。このページは「2 準備編」が対象です。
最終更新日 2024年7月8日
記事執筆 長谷川高士
くまもと水と福祉の研究室 主任研究員
携帯・簡易トイレには行う前にしておくべき準備があります。「2 準備編」ではその準備を紹介しています。
Point 1
45リットルサイズの袋なら便器にかぶせられる
「水気を吸わせてごみに出す」という排せつ方法である携帯・簡易トイレ。必要なものの1つが袋です。
おすすめの袋の大きさは45リットル(幅650×長さ800mm)サイズです。市販の袋の中で便器にかぶせられる最小のものが45リットルサイズだからです。
「水気を吸わせてごみに出す」には袋が必要
水分を吸収して安定させ、排せつ物をごみに出す携帯・簡易トイレ。そのために必要なものの1つが袋です。
袋の役割と求められる防水性
袋は、排せつ物を入れ、その中で水分を吸収させるために使います。また、排せつ物を外側から保護し、安定度をより増す役割も果たします。
ゆえに、袋の素材には防水性が必要です。
防水性とは水を浸入させず、透過させない性質のことです。携帯・簡易トイレに使う袋としては、内側の水分を外側に漏らさない性能が求められます。
袋のサイズは使い方から考える
袋のサイズ(大きさ)に求められる要件は、袋の使い方によって決まります。そして、その袋の使い方は携帯・簡易トイレを行う際の【排せつ姿勢】の影響を受けます。
袋は便器にかぶせて使う
袋の使い方は、「どのような環境や姿勢で〈方法〉としての携帯・簡易トイレを行うか」という【排せつ姿勢】の影響を受けます。
袋の中に直に用を足す
そもそも袋の中で吸水するためには、排せつ物をその袋の中に入れる必要があります。
このとき排せつ物を【袋に入れる行為】は、排せつ行為と一体的に行われることが衛生的には理想であり、行為としても自然です。
要するに、袋の中に直に用を足す、ということです。
仮に、排せつ行為とは別に、あらためて排せつ物を袋に入れ直すとしら余分に手間が掛かり、行為に対する抵抗感も上がるでしょう。
考えられる【排せつ姿勢】は3種類
袋の中に直に用を足す場合の【排せつ姿勢】としては、次の3つが考えられます。
- 袋を床に広げ、その上にしゃがむ
- 水洗トイレの便器の形状を模した〈便器の代わり〉に袋をかぶせ、その上に腰掛ける
- 水洗トイレの便器に袋をかぶせ、その上に腰掛ける
選択のためにストレスを考える
これら3つの排せつ姿勢の優劣を一概に論じることはできませんが、選ぶうえでの判断材料として【ストレスの観点】が利用できます。
災害がもたらす精神的な影響の1つに「生活上の困難がもたらすストレス反応」があります。これらストレス反応の「ほとんどは正常な反応で、多くの場合、時間の経過とともに改善していき」ます1。
一方で、ストレス反応が長く続くと「ストレス障害と呼ばれる様々な障害や疾病へと進んでいく」おそれもあります。そこで「ストレス反応を取り除き心身を健康な状態に回復させること、あるいは予防すること」である心のケアが求められます2。
心のケアの1つであるストレスへの対処法(ストレスマネジメント)は、働きかける対象の違いによって大きく3つに分けられます。
その1つがストレス反応の原因に働きかける「ストレッサーへのアプローチ」です。
「日常に近づける」というストレスマネジメント
ストレスへの対処法(ストレスマネジメント)のうち、原因に働きかけるものである「ストレッサーへのアプローチ」は、ひと言でいえば「原因(となるストレッサー)を取り除くこと」です3。
ところで、「日常生活上の変化が大きいほど、わたしたちはストレス状態に陥りやすくなる」ことが分かっています4。
したがって、日常からの変化が大きいものをできるだけ避けることは、結果として原因となるストレッサーを取り除くことにつながります。
これらをまとめると、次のようにいえます。
できるだけ日常に近づけることは、有効なストレスマネジメントの1つである
「便器にかぶせて使う」が日常に最も近い
先に挙げた3つの【排せつ姿勢】は非日常的であることから、いずれもストレッサー(ストレスの原因)になり得ます。
ただし、日常からの変化の大きさは同じではありません。
3つの【排せつ姿勢】の中で、多くの人にとって日常からの変化が最も小さい――すなわち、日常に最も近い――ことが期待できるのは、普段使っているトイレの室内で水洗トイレの便器に袋をかぶせて、その上に腰掛けて用を足すことです。
そこで、このサイトでは「水洗トイレの便器にかぶせて使う」ことを前提として、袋のサイズや使い方を紹介しています。
その他の方法にも応用できる
「水洗トイレの便器にかぶせて使う」ことを前提に解説することは、床に広げる、や〈便器の代わり〉にかぶせる、というそれ以外の方法を否定するものではありません。
たとえば、水洗トイレの便器の形状を模した〈便器の代わり〉は、次のような場合の手段として有効です。
携帯・簡易トイレに
- 既存の便器を利用できない
- 利用できる既存の便器の数が足りない
袋のサイズや使い方など、紹介するもののほとんどは、床に広げる、や〈便器の代わり〉にかぶせる場合にも応用できる情報です。
かぶせられる袋の最小サイズは45L
水洗トイレの便器にかぶせるためには、袋は一定以上の大きさである必要があります。
入手しやすいポリ袋で考える
防水性能があり手軽に入手できることから、市販のポリエチレンフィルム製袋、いわゆる「ポリ袋」を対象として、必要な袋のサイズを考えます。
ポリ袋の寸法は、日本産業規格(JIS Z 1711:1994)で定められています。JIS Z 1711には、口が開いている辺の距離を「幅」、口から底まで距離を「長さ」として、規格番号に応じたポリ袋の寸法(サイズ)がミリメートル単位で示されています。
JIS Z 1711に基づくサイズでつくられたポリ袋は「規格袋」と呼ばれています。JIS Z 1711が定める規格番号の数は50を超えますが、広く流通しているのはそのうちの一部(に対応する規格袋)に限られます。
重要なのは長さよりも幅
JIS Z 1711が定めるポリ袋の寸法は、全ての規格番号において、幅よりも長さの方が大きく(長く)なっています。
便器にかぶせるうえで寸法として重要なのは、長さよりも幅です。
幅が足りれば長さもじゅうぶんである場合がほとんどですが、長さがじゅうぶんでも幅が小さすぎてかぶせられないことはあるからです。
条件を満たす最小は45Lサイズ
広く流通している規格袋の中で便器にかぶせられる最小のものは、寸法が幅650mm(ミリメートル)、長さ800mmの袋(JIS Z 1711|規格番号:F-21)です。
この規格は商品市場では「45リットルサイズ」と呼ばれています。一般家庭で最も多く使用される「ごみ袋」としてよく知られているものです。
袋のサイズ以外(厚さ・材質・色)の選び方
市販されている45リットルサイズのポリ袋には、厚さ・材質・色の違いによる種類が豊富にあります。
よくある厚さ|0.015~0.040mm
JIS Z 1711はポリ袋の寸法として、幅と長さのほかに素材であるポリエチレンフィルムの厚さを定めています。
厚さは、規格番号と素材の性状の組み合わせごとに数種類ずつ定められています。つまり、1つの規格番号の中にも厚さが複数がある、ということです。
広く流通しているものに限っても、45リットルサイズ(JIS Z 1711|規格番号:F-21)の規格袋の厚さには幅があります。
具体的には0.015mm(薄手)から0.040mm(厚手)までの幅です。
よくある材質|高密度と低密度
ポリエチレンフィルムの性状は、ポリ袋とは別の規格(JIS Z 1702:1994)で定められています。
ポリエチレンフィルムの性状を定めたJIS Z 1702は、柔軟性や耐衝撃性に応じてその種類を大きく4つに分けています。
ポリ袋の寸法を定めたJIS Z 1711の厚さの項目に引用(規格として採用)されているのはこのうちの3つで、柔軟性に優れたものが2種類、剛性が高いものが1種類です。
広く流通しているポリ袋には性状の異なる2種類のポリエチレンフィルムがよく使われています。その特徴は次のとおりです。
名称 | 高密度 ポリエチレン | 低密度 ポリエチレン |
略称 | HDPEまたはHD | LDPEまたはLD |
特徴 | 剛性が高い。引っ張りに強く伸びにくい。熱に強い | 柔軟性が高い。しなやかで裂けにくい。透明度がよい |
感触 | シャカシャカ | ツルツル |
使用例 | レジ袋、 ロール袋 | 透明のごみ袋、 チャック袋 |
向いている厚さ・材質・色|低密度・0.02~0.03mm・黒
広く流通している45リットルサイズのポリ袋であれば、厚さ・材質・色の違いによらず、どんなものでも携帯・簡易トイレのために使うことができます。
大きさとは異なり、袋の厚さ・材質・色には、「携帯・簡易トイレで使うためには、こうでなければならない」という制限がないからです。
そのうえで「より向いているものは?」と問われれば、次のように答えられます。
- 材質:低密度ポリエチレン(LD)
- 厚さ:0.02~0.03mm
- 色:黒
市販されている〈商品〉としての携帯・簡易トイレの多くで、この仕様に近いものが袋として採用されています。
またこの仕様の袋であれば、生活用品を取り扱う量販店(スーパー・ホームセンター・100円ショップなど)で購入できます。
便器にかぶせる理想のサイズは650×500mm
規格にこだわらなければ、便器にかぶせるのにより適した袋のサイズがあります。
余分がない方がかぶせやすい
45リットルサイズは便器にかぶせるうえでほとんど支障がない大きさですが、あえて難をいえば「少々長すぎ」です。
800mmという長さは、一般的な水洗トイレの便器の深さよりも大幅に大きく、外側に折り返す分を差し引いてもなお余ります。
幅、長さともに余分がない方が便器にはかぶせやすく、携帯・簡易トイレにとってはより理想的だといえます。
最適な長さは500mm
具体的には、幅650mmに対して、長さは500mm程度が最適です。
市販されている携帯・簡易トイレの中には、この規格外のポリ袋を専用袋として同梱しているものもあります。
Point 2
水気を「吸いとる何か」を探す
袋のほかに必要なのが水気を「吸いとる何か」。「水気を吸いとるために作られたもの」や「結果として水気をよく吸うもの」を探します。
具体的には紙おむつ、猫砂(紙系)、新聞紙、市販の吸水ポリマー(凝固剤)などです。
〈吸いとる何か〉は水分を吸収し安定させるもの
〈方法〉としての携帯・簡易トイレで、袋のほかに必要なのが「水分を吸収し、安定させるもの」です。このサイトでは〈吸いとる何か〉と呼んでいます。
求められるのは吸水力と安定度
〈吸いとる何か〉は、排せつ物の水分を吸収して安定させるために使います。そのため〈吸いとる何か〉には、次の能力や特徴が求められます。
- 吸水力:水分を吸収し、素材の内部で水分を保持できること
- 安定度:素材としての安定度が高く、吸水後もある程度それを維持できること
この吸水力と安定度をいずれも持っていることが〈吸いとる何か〉としての要件です。ひと言でいえば、水をよく吸う丈夫なもの、ということです。
重要なのは吸水後の安定度
素材としての安定度は、一般的には吸水前が最も高く、吸水量が増えるほどに低下します。
仮に多くの水分を吸収できたとしても、水を含んだトイレットペーパーのように吸水後の安定度が著しく低下するのであれば、〈吸いとる何か〉として用を成しません。
なお、〈吸いとる何か〉としての要件は1つの素材だけで満たす必要はありません。吸水後に低下した安定度を、素材としての安定度が高いもので補うなど、複数の素材を組み合わせることも可能です。
身のまわりで探す際の手掛かり
要件を満たす〈吸いとる何か〉を身のまわりで探すときのことを考えてみましょう。有効な手掛かりとして、次の3つの特徴が使えます。
- 水気を吸いとるために作られたもの
- 結果として水気をよく吸うもの
- 紙など素材としての安定度が高い可燃物
この特徴を持つものは〈吸いとる何か〉の1つとして使える可能性があります。
〈吸いとる何か〉として使える具体例
携帯・簡易トイレに必要な〈吸いとる何か〉として使えるものの具体例は、次のとおりです。
- 紙おむつ
- 尿とりパッド
- 猫砂(紙系)※
- ペットシーツ
- 新聞紙
- キッチンペーパー
- 吸水ポリマー(凝固剤)
※猫砂には、紙系のほかに鉱物系、木質系、食品(おから)系などがあります。
〈吸いとる何か〉に向いてる度ランキング
携帯・簡易トイレに必要な〈吸いとる何か〉としての適合度(向き・不向きの度合い)をいわゆるランキング形式でまとめました。
※左右にスワイプ(スクロール)すると
← 表の全体が見られます →
総合 評価 | 〈吸いとる 何か〉 | 吸水 必要 最小量 | 吸水時 安定度 下限 | 特徴 | |
---|---|---|---|---|---|
紙おむつ | B' | A | 安定度が高く、安心 | ||
尿とりパッド | B | B | 性能のバランスが良い | ||
猫砂(紙系) ※ | B | B | |||
吸水ポリマー (凝固剤) | A | C | 保管や持ち歩きに最適 | ||
ペットシーツ | C | B | 使う量を増すことで吸水力を高められる | ||
新聞紙 | D | C | |||
キッチン ペーパー | C | D |
※猫砂には、紙系のほかに鉱物系、木質系、食品(おから)系などがあります。
評価の指標
〈吸いとる何か〉としての適合度(向き・不向きの度合い)を評価する【指標】として、次の2つを用いました。
- 吸水必要最小量:同じ量の水分を安定度を維持したまま吸収できる最小量
小さいほど保管や持ち歩きに有利で、(見かけではなく)実質的なごみの量が少なくなる - 吸水時安定度下限:吸水必要最小量で同じ量の水分を吸収した状態での全体の安定度。吸水時の素材の安定度として許容しうる下限
大きいほど収集・運搬時の安全性が高まり、より安心してごみに出せる
ランキングをご覧いただくにあたり、次の注意点も必ず併せてお読みください。
ランキングの注意点と公表理由
「〈吸いとる何か〉に向いてる度ランキング」をご覧いただくうえでの注意点です。
上位以外の否定ではない
下位のものや掲載していないものを選択肢として否定する意図は全くありません。
携帯・簡易トイレという〈方法〉を選ばざるを得ない時点で、環境や状況に何らかの制約があることが想定されます。ゆえに、利用できる〈吸わせる何か〉の選択肢の間口は、可能な限り広いことが理想です。
吸収力も安定度も使う量によって変わる
〈吸いとる何か〉の吸収力と安定度は、いずれも使う量に比例します。多く使えば上がり、使う量が少なければ下がる、ということです。
上位のものを吸水必要最小量未満で使用した場合と、下位のものを吸水必要最小量より多く使用した場合では、ランキングの順位が入れ替わる可能性はじゅうぶんにあり得ます。
評価の精度が粗い
ランキングの元となる〈吸いとる何か〉の適合性は、一般的な素材特性に基づいて相対的に評価しています。
その際に測定などの科学的手法を用いておらず、評価の精度が粗いことへの批判は免れません。
それでも公表する理由
このような注意点があるにもかかわらず、ランキングを公表するのは次の理由からです。
- 利用者のニーズが想像できるから
「より向いているものが何かを知りたい」という要望(ニーズ)は、対象に拠らず一定の割合であることは想像に難くありません。 - 評価の実例を提示できるから
〈方法〉としての携帯・簡易トイレでは、「じゅうぶんに吸わせきれたかどうか」を評価する力が実施者自身に求められます。実例によって評価や工夫を具体的にイメージできます。
ニーズに応えつつ、イメージを喚起する。これが〈吸いとる何か〉に向いてる度ランキングを公表する意図です。
Point 3
袋を便器にかぶせるコツは「2重」と「カド」
便器に袋をかぶせるのにはコツがあります。袋を2重にすることと、袋のカドを便器の中心に合わせることです。なお、便器に袋をかぶせる前にトイレの室内が安全であることを必ず確かめるようにします。
トイレ室内の安全確認
便器に袋をかぶせる前に、トイレの室内が安全であることを確かめます。地震の直後であれば、具体的には次の点検を行います。
- 壁や窓ガラスなどにひび割れや破損はないか
- 天井や照明器具などに落下のおそれはないか
- 壁に取り付けられていたものに落下のおそれはないか
- ものが落下して当たるなどして、便器にひび割れや破損はないか
- その他、室内に滞在すべきではないような危険はないか
点検の結果、危険が認められたときは、全ての危険を解消できるまでは使用を中止します。
便器に袋をかぶせる
便器の器の部分(「便鉢」とも呼ばれます)に袋をかぶせます。中に排せつ物がおさまるように、器(便鉢)の内面に合わせて袋を仕掛けるイメージです。
袋を便器にかぶせるうえで、知っておきたいコツ(工夫)が2つあります。
コツ1 袋を2重にする
1つ目は、袋の外側が濡れないようにするコツ(工夫)です。
便器に溜まっている水の名前と役割
便器の器の部分(便鉢)には水が溜まっています。この水には名前と役割があります。
役割は、臭気や害虫が排水管から便器へ浸入することを防ぐことです。水で封をすることから、この水は「封水(ふうすい)」という名前で呼ばれています。
臭気・害虫防止の封水は「抜かずにそのまま」で
水洗トイレの便器は、水を流すたびに封水がこの場所に自然に溜まるように、内部の形状が工夫されています。ゆえに断水中に1度でも抜くと、再び水を流さない限り封水は元に戻りません。
封水がなければ封が切れてしまい、臭気や害虫の侵入が可能になります。よって封水は、抜かずにそのままにしておくべきだといえます。
そのままだと袋が濡れる
封水がある状態で便器の内面に合わせて袋をかぶせると、袋の外側が封水に接触します。
これでは、用を足した後で引き上げた時に袋の外側が濡れてしまうことになり、(その後の手順を踏まえても)面倒で厄介です。
濡れないように袋を2重にする
濡れないようにするコツ(工夫)は「袋を2重にする」ことです。先にかぶせる袋(画像では水色の袋)を〈下地袋〉と呼ぶことにします。
そのトイレ(便器)で携帯・簡易トイレをする間、破れるなど交換の必要がない限りは〈下地袋〉はかぶせたままにします。このとき、〈下地袋〉の端を仮止めテープ(養生テープ)で便器に固定すれば、誤って外れる(外される)のを防ぐことができます。
〈トイレ袋(用を足す袋、画像では黒色)〉は〈下地袋〉の上にかぶせて使います。
封水の水位を下げるのは“アリ”
封水の水位が高く、水面が広いことで袋をかぶせづらいことがあります。その場合には、封水が切れない範囲で水位を下げることができます。
封水の水面が、その全周において欠けることなく便器の内面に接していれば、封水はその役割を果たせています。
コツ2 カドを利用する
2つ目は、便器の内面に合わせてきれいに袋をかぶせるコツ(工夫)です。袋のカドが便器の真ん中にあることで排せつ物の水分を吸いとりやすくなります。
カドを利用して袋をかぶせる手順
- 指先がカド(角)に触れるまで、利き手を袋の中に入れます。
- カドに触れた指先を、水が溜まっている場所(封水)に目がけながら、反対の手で袋を開きます。
- 便器のフチに沿わせるように両手で袋を整えます。
〈下地袋〉も〈トイレ袋〉も同じ要領
上のかぶせ方は〈下地袋〉と〈トイレ袋(用を足す袋)〉の両方に共通の手順です。
〈下地袋〉の上に〈トイレ袋〉をかぶせて使います。
〈トイレ袋〉をかぶせるのは便座の「下か? 上か?」
〈トイレ袋(用を足す袋)〉をかぶせるのは便座の下(袋をかぶせてから便座を下ろす)か、便座の上(下ろした便座の上からかぶせる)か。携帯・簡易トイレについてよくある疑問の1つです。
それぞれの利点(メリット)
この2つは「いずれか一方が間違い(NG)」というものではありません。それぞれに利点(メリット)があり、一方の利点は他方の難点でもあります。
袋の 位置 | 便座の下 | 便座の上 |
かぶせ 方 | 〈下地袋〉の上にかぶせて便座を下ろす | 下ろした便座の上からかぶせる |
利点 | いつもと同じ肌触りでストレス少なめ | 感染などを防ぎやすい |
選択の 条件 | 家庭内など、感染予防を比較的しやすい場合 | 避難所など、不特定の人が使う場合 |
決めた内容をルールとして共有する
〈方法〉としての携帯・簡易トイレを行う際には、環境や条件に応じていずれか一方を選択します。そして選択した内容は、“守るべきルール”として同じトイレを使用する全員で共有するようにします。
脚注
- 加藤寛(2020年3月12日)「加藤寛先生に「災害時の精神的ケアについて」を訊く」『公益社団法人日本精神神経学会』,https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=50(2024年7月2日情報取得) ↩︎
- 文部科学省(更新年月日不明)「Ⅰ 心のケアの基本」『在外教育施設安全対策資料【心のケア編】第2章 心のケア 各論 』,https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/003/010/003.htm(2024年7月2日情報取得) ↩︎
- 文部科学省(更新年月日不明)「Ⅱ ストレスへの対処」『在外教育施設安全対策資料【心のケア編】第2章 心のケア 各論 』,https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/003/010/004.htm(2024年7月2日情報取得) ↩︎
- 大塚俊弘 監修(2013年3月)「心の健康ってなに?―メンタルヘルスをやさしく考える―」長崎県長崎こども・女性・障害者支援センター,p.4,https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2013/09/1378275898.pdf(2024年7月2日情報取得) ↩︎
- ワークアップ株式会社「PE袋(ポリ袋)とは?」,https://www.fukuro.in/page/2416(2024年7月2日情報取得) ↩︎
- 株式会社レシード「ポリエチレンの特徴や用途とは? ポリプロピレンとの違いも紹介」『オリジナルポリ袋WEB』,https://original-plb.net/column/comparison-of-differences-between-ledp-and-hdpe-plastic-bags/(2024年7月2日情報取得) ↩︎
- アイニチ株式会社「HDPE(ハイデン)とLDPE(ローデン)の違い」『ゴッドママ』,https://kankyoeco.com/blog/hdpe-ldpe-difference(2024年7月2日情報取得) ↩︎